Winny開発者金子氏に無罪判決

インターネットを通じて映像や音楽を交換するソフト「ウィニー」を開発し、著作権法違反幇助(ほうじょ)の罪に問われた元東京大大学院助手、金子勇被告(39)の控訴審で、大阪高裁は8日、罰金150万円とした一審・京都地裁判決(06年12月)を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した。
http://www.asahi.com/national/update/1008/OSK200910080026.html

とりあえずP2P周りの混乱が多少収まってくれればいいんだけど。

個人的には、今回の判決には肯定的。もしWinnyがダメなら、何が許されるのか。金子氏のように挑戦的な発言が無ければよかったのか。いわゆるKey-Value Storeさえ全滅なのか。キャッシュ機構を持たないSkypeなら許容されるのか。商用化されたナップスターのようにフィルタリング機能がなければいけないのか。
少なくとも、Winny事件を幇助と認めるならば、幇助という概念はあまりに広く使われる可能性を含みすぎていることになる。これには納得がいかない。

Winnyの提供が幇助に当たるかどうかは、学者でもはっきりと答えられない」
Winny開発者の逮捕理由「著作権法違反幇助」は正当か!? ~弁護士各氏語る

その点、高裁判決では

被告は誰がウィニーをダウンロードしたか把握できず、その人が著作権法違反の行為をしようとしているかどうかも分からない。価値中立のソフトをネット上で提供することが正犯の実行行為を容易にさせるためにはソフトの提供者が違法行為をする人が出ることを認識しているだけでは足りず、それ以上にソフトを違法行為のみに使用させるように勧めて提供する場合にはほう助犯が成立する。
http://www.47news.jp/47topics/e/134329.php

と、比較的明確な線引きを行って合法性を決定している。要するに違法行為を利用者に勧めなければいい。

今後

金子氏は、商用P2PシステムであるSkeedCast*1に関与している。SkeedCastでは中央サーバによる認証などを組み合わせることで、著作権の保護とP2P技術による効率の良いコンテンツ配信を両立させようとしているそうな。
技術が生み出した問題は、技術が解決するということだろうか。